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香川で出会った師匠たちに感謝

本田龍さん:三木町在住・2008年移住・30代

「農業で独立したい」という夢を叶えた観光農園「森のいちご」代表の本田龍さん

「森のいちご」ができるまで

 若い頃から「農業でごはんを食べていこう」と思っていて、北海道、千葉、信州など全国のいろいろな農園で修行をしました。その中のひとつが香川。23歳の時、香川県の広野牧場さんで研修を受けさせてもらいました。1年ほどで実家に戻らなければならなくなり、香川を離れましたが、その後も違う農園で修行していました。30歳までに独立したいという目標があり、そのための場所を探していました。
 そんな時にお世話になった香川の広野牧場さんから「今度、観光農園を開こうと思う。やってみないか」と声をかけていただきました。それが「観光農園 森のいちご」です。三木町の農家さん3人が出資している観光農園で、その3人は私の師匠でもあります。農家が個人に投資するのはとても珍しいことです。自分たちが成功していなければできないことですからね。3人それぞれが、「後継者を育てたい」「農業をおもしろくしたい」「農業を伝えたい」と、農業に対する熱い思いを持っている人たちです。この師匠たちに導いてもらい、ここまで来ることができました。師匠を中心に、私をはじめ関西から移住した農家のグループがあります。仲間の存在はとてもありがたいものです。今年の正月に大風でビニールハウスのビニールが飛んでしまったんですが、わずかな正月休みを返上して、助けにきてくれて、その日のうちに直ってしまいました。助け合える仲間の存在は心強いですね。

さぬきのいちごとこれからの農業

 香川にはすごい人がいっぱいいます。地域に根ざして、地域のためにがんばって、香川の魅力を作っている人達がたくさんいます。
 香川で開発された「さぬきひめ」も、そういう人達が努力して生み出したすばらしいいちごで、全国的にも高い評価を得ています。おいしくて消費者に人気があるのはもちろんですが、管理作業も少なく、売れる時期にたくさん収量が出て、収入が増え、再投資できる農家が喜ぶ理想的ないちごです。いちごは私にとってこどもみたいなもの。一日一日顔が変わります。毎日ドキドキしていますよ。失敗もたくさんしてきました。そうやって思考錯誤を繰り返していちごを作っています。「観光農園 森のいちご」の経営も「いちごのテーマパーク化」を目指して取り組んできました。そして、半年前、もうひとつの事業を立ち上げました。未来の農業のために今できることをする。移住も含めた人口増、農家増、そして農家の収入アップを目指し、地域に人が定着する仕組み作りが必要だと思います。農業をしたいという憧れから香川での暮らしが始まりましたが、これからは自分が思い描く未来を作っていく事業にシフトしていこうと思っています。

移住を考えている方へ

 三木町は移住初心者にはおすすめの町です。田舎すぎないのがいいですね。都会の人は田舎過ぎると、暮らすのに覚悟がいる人もいますから。ここはスーパーも多くて暮らすのに不便さを感じません。住んでみないとわからないことがたくさんあります。香川に合うか合わないかは人それぞれ、楽しむか楽しまないかは自分次第、だと思います。

 移住は「きっかけ」が大事です。若い人はそのきっかけが「仕事」ではないでしょうか。
農業をするなら師匠探しは大事。農業法人で修行するなら、将来的に独立できるか聞いた方がいいですよ。独立を応援してくれる師匠、厳しいけれど未来のビジョンが描けている師匠に出逢えたら、その人についていくことをおすすめします。農業法人で求人募集はありますが、ミスマッチが多いと感じています。自分を受け入れてくれるような農業法人に出逢えるといいですね。
私は今後、農業を志す人を受け入れていきたいと思っています。人が集まると楽しいですからね。