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観音寺市でレタス農家として独立

浦 達生さん:観音寺市在住・2010年移住・30代

東京生まれ東京育ちの浦さん。美術大学で陶芸彫刻をしていた浦さんが香川県でレタス農家として独立するまで。

美大からレタス農家へ

 東京の美術大学で陶芸彫刻を専攻していて、博士課程までいきましたが、就職を考えたとき、学校や組織に所属している自分は想像がつきませんでした。自分の力で生きていく第一次産業に魅力を感じていたし、団体行動が苦手な自分には農業があっているのではないかと思って、ボラバイトで農業の求人を探しました。その時に見つけたのが観音寺市の農業法人です。冬作のレタスの栽培・出荷で人員を大規模に募集していました。

 農業はまったくの未経験です。仕事はきつかったですが、今まで農業経験がまったくなかったおかげで、きつくてもこういうもんだと思えて、なんとか乗り切れました。ボラバイト先の親方はとても厳しい人でしたが、その仕事をする姿は無駄がなくて、たたずまいがとてもきれいでした。何よりも親方と気が合ったので、怒られながらも、3ヶ月のボラバイトを終え、その後、その農業法人で農業の修行をさせてもらうことにしました。そこは小規模で親方が全て仕切っていたので、この人についていったら全部仕込んでくれるだろうと思って。修行期間は2年と決めて、修行しつつ、独立の準備をしました。

 親方の指導のおかげで、計画通り2年で独立し、今は主にレタス、あとは米と青ねぎを作っています。レタスのシーズン中は毎日出荷しています。妻と2人でやっているので、体力的にかなりハードですが、今では金銭的に問題なく、レタス農家として食べていけるようになっています。
 
 住まいは香川に来る前にインターネットで探していましたが、あまり載っていなかったので、しばらくは会社の寮に住んでいました。就職して1ヵ月後、親方が観音寺市の空き家バンクに登録されている今の家を紹介してくれて、借りることができました。がつがつ働きたいと思って来ているので、家の環境が整っていないと集中できません。大家さんがすぐに入れるように片付けてくれたおかげで、すんなり入居できました。

地元とのつながり

 修行した農業法人は厳しいことで有名でしたが、そこで続けられたことで独立しても問題なくやれたし、「あそこでやってこれた人なら大丈夫」と近所の人から信用してもらえました。県の農業改良普及センターの職員のフォロー体制もしっかりしていて、新規就農から経営まで必要な申請書類の作成などの面倒もみてくれました。システムができているおかげで、農作業に専念できます。修行時代から担当員とのつながりを作っておけたのがよかったです。独立して2年、軌道に乗せるために必死で農業に打ち込んできて、結果が出てやっと落ち着いてきました。農業はきつい、収入は少ない、ではなく、将来的に安心して子育てするために、余裕のある経営ができるようにしていきたいと思っています。

 豊浜は「さぬき豊浜ちょうさ祭り」の「ちょうさ」(太鼓台)が有名で、自治会に入って参加しないといけないのですが、祭り以外にも、自治会の仕事や山の管理など、参加しないといけない地域の仕事はたくさんたくさんあります。人口がどんどん減っているので負担する仕事も多くなっています。でも、地域の仕事に参加することで、近所の人たちとのつながりができて仲良くなれました。

移住を考えている方へ

 移住のポイントは仕事。仕事=住むところ(移住先)。仕事として農業をしたいと考えて動いた結果、香川に来ました。
 農業は都会の人が思うようなおしゃれなものではなく、地味でこつこつした作業。でも、農業は仕事として深みがあると思います。香川の農業は産業として成り立っているので、県外から来た人でもやりやすく、特に観音寺は担い手が増えている地域です。観音寺は一反割りで基盤整備されているので、新規参入で小さい農業をするには向いています。1年中何かしら作付けできるので、短いサイクルでお金が稼げるのがポイントです。観音寺はまだまだ入り込む余地がありますよ。
 農業で独立するために、まず農業法人で修行をすると考える方が多いと思いますが、その農業法人の選び方が大事です。独立するために教え込んでくれる法人もあれば、何年いても独立できない法人もあります。自分の将来設計を伝え、独立の為の指導をしてくれるような法人で修行することをお勧めします。Iターンで田舎に来て農業を始める若者が増えてほしいと思っています。